学校では「a」や「an」を、「一つの〜」という意味だと教わることが多く、たとえば a cat や a pen のように説明されるのが一般的です。
しかし、次の例文を見てみてください。
He is a doctor.
I will be a doctor.
They are doctors.
He や I と言った時点で、すでに「一人であること」は分かっているはずなのに、それでもなぜaが付くのでしょうか。
逆に、They are doctors. では複数形になっていますが、「何人いるのか」は分かりません。
これはいったい、何を意味しているのでしょうか。
ここで大事なポイントがあります。
実はaは、「数」を表している言葉ではありません。
aの本当の役割は、「カテゴリーの中の一つであること」を示すことなのです。
私たちの頭の中には、さまざまな名詞が、カテゴリーとして整理されています。
たとえば、doctor というカテゴリー、cat というカテゴリー、car というカテゴリー、といった具合です。
a doctor とは、「doctor というカテゴリーに属する存在の一例ですよ」と伝えている表現になります。
だから、He is a doctor. や I will be a doctor. におけるaは、「一人だから付いている」のではありません。
「その人が doctor というカテゴリーに属していること」を示している、それがaの役割なのです。
では、doctors のような複数形はどうでしょうか。
Doctors、cats、cars のような複数形は、「カテゴリーの中の一部」ではなく、「そのカテゴリー全体」や「一般的な性質」を表します。
Doctors save lives. や Cats like warm places. といった文は、特定の誰かについて話しているのではなく、「医者とはこういうものだ」「猫とはこういうものだ」という一般論を述べているのです。
詳しい説明は後で行いますが、ここではまず、aは「カテゴリー化」を表す働きを持っている、という点を押さえてください。
なお、このような仕組みを、ネイティブスピーカーは理屈として意識して使っているわけではありません。
ネイティブに理由を聞くと、「aがないと気持ち悪い」「それは違う」「それは自然だ」といった、感覚的な答えになることがほとんどです。
ここで大事なのは、その「気持ち悪い」という感覚は、「数が足りないから気持ち悪い」のではない、という点です。
そうではなく、「本来、カテゴリーの中の一つとして扱うべき場面なのに、その印であるaが付いていないから違和感がある」という感覚なのです。
つまり、理屈として考えているわけではなく、「そういうもの」として身体感覚で身についているのが、ネイティブのaの感覚だと言えます。
ここでは、「英語とはそういう仕組みなのだ」という前提で聞いてもらえれば十分です。
では次に、抽象名詞にaが付くケースを見てみましょう。
Take a chance.
A good idea.
こうした表現を見て、「形容詞が付くとaが使える」と覚えた人も多いかもしれません。
しかし、これも実は同じく「カテゴリー化」で説明できます。
chance や idea は、もともと輪郭のぼやけた抽象的な概念で、そのままでは一つとして切り出しにくい言葉です。
ところが、good chance や good idea のように形容詞が付くと意味の輪郭がはっきりし、「これは一つのケースだ」と認識しやすくなるため、aを付けて切り出すことができるようになります。
つまり、「形容詞が付くとaが使える」のではなく、「形容詞によってカテゴリーの中の一例として切り出しやすくなる」だけなのです。
だから、抽象名詞にaが付くのも特別な例外ではなく、aの本質がそのまま使われているにすぎません。
まとめると、aは「数」ではありません。
aは、「カテゴリーの中の一つであること」を示すための印なのです。
抽象名詞に a が付く理由
では次に、
抽象名詞に a が付くケースです。
- Take a chance
- A good idea
「形容詞が付くと a が使える」
と聞いたことがある方もいるかもしれません。
しかし、これも
カテゴリー化で説明できます。
抽象名詞 + a の正体
- chance
- idea
これらは本来、
漠然とした概念です。
しかし、
- a chance
- a good idea
とすると、
抽象的な概念を
一つの型・一つのケースとして
カテゴリーから切り出している
ということになります。
つまり、
抽象名詞に a が付くのも
特別な例外ではなく、
a の本質がそのまま使われている
だけなのです。
まとめ
a は「数」ではありません。
a は「カテゴリーの中の一つ」を示す印です。

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